臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
119.CPK,アルドラーゼ
里吉 営二郎
1
1国立武蔵療養所神経センター
pp.1902-1903
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216223
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はじめに
CPK(Creatine phosphokinase)とaldolaseはともに筋小胞体に多量に含まれている酵素であるが,CPKはATPおよびADPを補酵素としてLohman反応を触媒する酵素で,血球中には存在せず,筋肉内に大部分が存在している.そのほか脳にわずかに存在するのみで,他の実質臓器内にはまったく認められない.これに対しaldolaseは嫌気性解糖系のうち6炭糖である果糖2燐酸を3炭糖に分解する酵素で,筋肉に多量存在するが,血球中にも他の実質臓器でも,嫌気性解糖を行う細胞には含まれている.
両酵素とも筋細胞内に多いので,骨格筋または心筋細胞膜の破壊や膜透過性亢進を示す疾患では血清の活性値が著しく上昇するために,筋疾患ないし筋障害の補助診断法として広く用いられている.しかし,aldolaseは筋以外の臓器,肝,血球などにも含まれているために,必ずしも筋疾患のみでなく,肝疾患や悪性腫瘍でも増加してくるので,診断的特異性はCPKより低く,最近あまり用いられなくなった.CPK,aldolaseはともに種々の測定方法があり,正常値はそれぞれ異なるために,それを考慮に入れて結果を判定する必要がある.
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