臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅷ.血液化学検査
132.GOT(AST),GPT(ALT)
平山 千里
1
Chisato Hirayama
1
1鳥取大学医学部・第2内科
pp.2416-2417
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219453
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異常値を示す疾患
トランスアミナーゼ(一般名:aminotransferase)はアミノ酸の代謝に関与する酵素であり,ほとんどすべての細胞に存在しているが,量的には肝,心筋,骨格筋,脂肪組織,脳,腎などに多い.GOT(一般名:aspartate aminotransferase,AST)は心筋,肝のほか,骨格筋,腎,膵などに存在し,GPT(一般名:alanine aminotransferase,ALT)は肝に最も多く,次いで腎,心筋,骨格筋,膵,脾などにも存在する.
GOT,GPTはピリドキサル燐酸を補酵素とし,細胞内では糸粒体(m)と上清(s)に分布している.血清GOT,GPTの正常値はそれぞれ8〜32,5〜29国際単位(SI)である.血清トランスアミナーゼはピリドキサル燐酸で飽和されていないため,その約20%はアポ酵素であるが,GPT活性はとくにピリドキサル燐酸濃度に影響をうける(図1).血清GOT,GPTは陰イオン交換樹脂や抗血清でmおよびsの異性酵素にわけることができる2).細胞内のGOT,GPT濃度は血清濃度の103〜4程度であるので,細胞膜の障害で血清中に逸脱する.
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