特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
酵素および関連物質
AST(GOT),ALT(GPT)
白羽 英則
1
,
小出 典男
2
1岡山大学病院消化器内科
2岡山大学病院総合診療内科
pp.180-181
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104732
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
AST(aspartate aminotransferase),ALT(alanine transaminase)の血清値は,いずれも本来は細胞内に分布し機能している酵素が,組織障害による細胞破壊,もしくは細胞膜透過性亢進で血中に流出した逸脱酵素である.逸脱酵素を測定することで,臓器の障害を推測することが可能となる.
●ASTはGOT(glutamic oxaloacetic trans-aminase)とも呼ばれる.グルタミン酸とアスパラギン酸をオキサロ酢酸とα-ケトグルタル酸に変換する酵素である.ASTは肝細胞に多いが,心筋,骨格筋,腎臓,赤血球にも含有され,肝臓以外の組織障害でも上昇する.ASTには細胞質に存在する細胞質AST(C-AST)とミトコンドリアに存在するミトコンドリアAST(m-AST)のアイソザイムがある.m-ASTはミトコンドリア膜で保護されているため,肝細胞が壊死に至るような強い障害の際に血中に出現するため,肝細胞障害の重症度の指標となりうる.
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