増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
酵素および関連物質
AST(GOT),ALT(GPT)
深津 俊明
1
1名古屋掖済会病院中央検査部
pp.283-286
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906347
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
アミノトランスフェラーゼ(トランスアミナーゼ)は,アミノ酸とαケト酸の間でアミノ基の転移を触媒する酵素で,生体内ではTCAサイクルの代謝産物とアミノ酸との間でアミノ基の転移を調整している.病態の指標として臨床検査に利用されるのは,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)とアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)である.かつてはグルタメートオキザロアセテートトランスアミナーゼ(GOT),グルタメートピルベートトランスアミナーゼ(GPT)と呼ばれたが,国際酵素委員会はAST,ALTを推奨し,日本でも浸透しつつある.
AST,ALTのように組織・細胞の傷害により血中に逸脱する酵素の血中レベルを左右する要因は,①組織・細胞中の酵素産生量:どの臓器由来かの指標②血中への逸脱量:傷害程度の指標,高値ほど傷害強く広範③血中よりの消失速度:血中での半減期で推定である.逸脱酵素を評価するときには,上記を考慮する必要がある.
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