臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅷ.血液化学検査
115.Ca(カルシウム)
尾形 悦郎
1
Etsuro Ogata
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.2380-2381
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219436
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異常値を示す疾患
日常検査では血清(あるいは血漿)の総Caを測定するわけであるが,それが正常値以下,あるいは以上をきたす疾患を列挙すると表1,2のごとくなる.血清CaはCa++(カルシウム・イオン),蛋白結合Ca,蛋白以外の陰イオンと結合したCaよりなり,それぞれ血清総Caの48%,46%,6%をなす.血清Caの中でもCa++がCaとしての生物学的活性の主体であり,その濃度は非常に狭い範囲でホメオスターシスが保たれている.これが副甲状腺ホルモン,ビタミンDおよびカルシトニンの作用によることはいうまでもない.蛋白結合Caの濃度はCaが結合する血清蛋白,それも主としてアルブミンの濃度によって変動する.血清総Ca濃度測定の際に見出された異常がCa++濃度の変化を伴うものか,ただ単に血清蛋白濃度の変動を反映するにすぎないものかを区別することは,その後の鑑別診断にとって重要である.血清蛋白濃度変動による血清総Caの変化は次の式による補正により除去できる.
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