臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅵ.血液検査
53.アンチトロンビンⅢ(AT-Ⅲ)
垣下 榮三
1
,
樋口 光宏
1
Eizo Kakishita
1
,
Mitsuhiro Higuchi
1
1兵庫医科大学・第2内科
pp.2214-2215
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219374
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アンチトロンビンⅢ(AT-Ⅲ)は活性化された凝固因子に対する生理的な阻害物質としてきわめて重要なものである.AT-Ⅲが血管内凝固,血栓形成に防御的に働いていることは,1965年Egebergにより血栓症の多発するAT-Ⅲ欠乏家系が記述されて以来1),間違いない事実と考えられている.
AT-Ⅲはトロンビンのみならず,Ⅹa,Ⅸa,ⅩⅠa,ⅩⅡa,Ⅶaさらにはプラスミンや血漿カリクレインなど各種セリンプロテアーゼを不活化し,その反応はヘパリンの存在により著しく加速されるが,AT-Ⅲの凝血学的意義はアンチトロンビンとしての作用よりも,内因系・外因系の両凝固系に関与するXaを効果的に阻害することにより血管内凝固を制御するところにあるといわれている.
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