臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅵ.血液検査
37.好酸球数
島袋 嘉修
1
Kashu Shimabukuro
1
1北里研究所付属病院・内科
pp.2174-2175
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219358
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異常値をきたす疾患
好酸球増多を示す患者をみたら,まずⅠ型アレルギーを起こしやすい体質,すなわちアトピー性疾患の存在を考えることが一つの常識となっている,Ⅰ型アレルギーは即時型,あるいはIgE依存性アレルギーとも言われており,好塩基球や肥胖細胞の細胞膜面に固着したIgE抗体が抗原と反応すると,これら細胞が脱顆粒現象を起こし,ヒスタミン,セロトニン,ヘパリンなどの化学伝達物質が遊離され,細胞膜よりslow reacting substance of anaphylaxisが生成遊離されアレルギー反応が惹起される.それと同時に好酸球遊走因子(ECF-A)が放出され,好酸球が局所に集まり,chemical mediatorを不活化する方向に働くと想定されている.このⅠ型アレルギーの関与する疾患として,アレルギー性鼻炎,アトピー性気管支喘息,アトピー性皮膚炎,蕁麻疹,薬物アレルギーショックなどがある.
次にⅠ型アレルギーとは関係ないが,好酸球増多をきたす疾患に,原虫を除く寄生虫感染がある.感染に際して抗原に特異的なIgE抗体が産生され,患者の血液中にレアギン型抗体が証明される.さらに寄生虫自身のもつ好酸球遊走因子(ECF-P)により好酸球が感染局所に遊走してくる.
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