今月の主題 リンパ系疾患へのアプローチ
免疫不全症候群
重症複合免疫不全症(SCID)
崎山 幸雄
1
Yukio Sakiyama
1
1北海道大学医学部・小児科
pp.1798-1799
発行日 1984年10月10日
Published Date 1984/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219260
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重症複合免疫不全症(severe combined immunodeficiency;SCID,以下SCIDと略)はT,B細胞の重篤な欠陥を有し,免疫能が治療により回復されなければほぼ2歳までに重症感染により死の転帰となる原発性免疫不全症で,その病態はheterogenousなものと考えられている.1982年のWHO原発性免疫不全症の分類では,SCIDには,①Adenosine deaminase欠損,②reticular dysgenesis,③T,B細胞欠損,④B細胞保有,⑤bare lymphocyte syndromeの存在することが明らかにされている.
本邦におけるSCIDの頻度は昭和58年5月時点で56例であり,うちAdenosine deaminase欠損によるSCIDは4家系,reticular dysgenesis 1例,bare lymphocyte syndromeはこの時点では報告がないので,そのほとんどがB細胞保有型とT,B細胞欠損型になる.
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