今月の主題 リンパ系疾患へのアプローチ
免疫不全症候群
T-cell Deficiency
矢田 純一
1
Jun-ichi Yata
1
1東京医科歯科大学・小児科
pp.1796-1797
発行日 1984年10月10日
Published Date 1984/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219259
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T細胞は,骨髄などの造血器に由来する未熟リンパ球が胸腺に入り,その影響下に特定の形質と機能をもつリンパ球に分化したものである.したがって,T細胞の欠陥はその分化に必要な上皮性胸腺の異常によっても,リンパ系細胞自身の異常によっても発生する.
T細胞の欠陥があると,その排除にT細胞の存在を必要とするウイルス,サルモネラ,リステリア,結核,真菌などの感染防御に不全が現れる.移植拒絶反応が低下し,輪血などにより他人のリンパ球が侵入してくると,それが生着してgraft versus host(GVH)反応を起こす危険がある.検査では,Phytohemagglutinin(PHA)や同種リンパ球の刺激に対する培養リンパ球の増殖反応の低下,末梢血T細胞(ヒツジ赤血球とのロゼット形成性,T3抗原やLeu4抗原の存在で同定される)の減少,皮膚遅延型過敏反応(ツベルクリン,PHA,カンジダ,DNCBなど)惹起能の低下がみられる.
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