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特集 注目の実験モデル動物
SCIDマウス
SCID (severe combined immunodeficiency) mouse
垣生 園子
1
Sonoko Habu
1
1東海大学医学部免疫学教室
pp.553-556
発行日 1990年12月15日
Published Date 1990/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900145
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I.SCIDマウス発見の背景
1983年,Bosmaら1)は検索していた35匹のCB-17マウスの血清中にCB-17 allotype(Ighb)の免疫グロブリン(Ig)が欠如しているものが4匹存在することに気付いた。この4匹の血清中にはBALB/c allotype(Igha)のdeterminantsも見出されなかった。さらにこの血清を詳細に調べると,主なIgクラス(IgM,G3,G2b,G2a,A)も欠如していた。また,このIg欠如の血清を持つ4匹のマウスは同腹7匹のうちの4匹であった。これら7匹を生産した親のうち♂が血清Ig欠如(Ig-)であった。このIg-♂を正常♀と交配すると仔マウスの1/2にIg-が出現する場合と,すべてIg+マウスになる場合があり,CB-17ミュータントのIg欠如は劣性遺伝することがわかった。Ig-マウスを選択交配し続けてこのミュータントのコロニーを作製してみると,このマウスは,BのみでなくT細胞免疫機能も欠如していることがわかった。症状的には,ヒトのsevere combined immunodeficiency(SCID)に類似しているので,このミュータントはSCIDマウスと命名された。ヒトにおけるSCIDの原因は単一ではない。もっとも良く知られている小児のSCIDではadenosine deaminase(ADA)の欠損が原因とされている。
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