ベッドサイド 臨床医のための臨床薬理学マニュアル【新連載】
臨床医のための臨床薬理学マニュアル
越前 宏俊
1
,
辻本 豪三
2
,
石崎 高志
3
Hirotoshi Echizen
1
,
Gozo Tsujimoto
2
,
Takashi Ishizaki
3
1ボン大学・臨床薬理
2スタンフォード大学・臨床薬理
3国立病院医療センター・臨床薬理研究室
pp.134-146
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218871
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連載にあたって 近年ベッドサイドでの薬物治療において,臨床薬理の知識に基づく薬物投与設計の重要性は広く認められるようになった1〜4).従来のもっぱら個々人の経験と勘に基づく「投与量-効果」アプローチは,より科学的な「血中濃度-効果」アプローチにとって換わられつつある.たとえば急性心不全の患老に対するdigoxinのloadingから維持量への移行や,喘息発作の患者に対するtheophylline(テオフィリン)のloadingとその後の持続点滴静注による治療などは,臨床薬理学の知識に基づいて,安全にまた確実に行い得るようになった.
このような経緯から,ベッドサイドで素早く投与される薬物の動態値を知り,また合併症の存在,併用薬物による薬物動態変化を知るための簡便なハンドブックの必要性が痛感され,いくつかのものが世に出た5,6).しかしながら既刊のそれらは,筆者らが,日常,臨床薬理コンサルテーションで実際に使用してみて,いずれも満足するものではなかった.
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