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ベッドサイド 臨床医のための臨床薬理学マニュアル
メソトレキサート
Methotrexate
辻本 豪三
1
,
越前 宏俊
2
,
石崎 高志
2
1山梨医科大学・薬理学教室
2国立病院医療センター・臨床薬理学
pp.1100-1109
発行日 1985年6月10日
Published Date 1985/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219808
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今回は,制癌剤の中でも臨床薬物動態(clinical pharmacokinetics)の研究がよく行われており,その薬物動態の知見が臨床治療に応用されている,葉酸拮抗薬のメソトレキサート(Methotrexate:amethopterin:4-amino-N10-methylperoyl-glutamic acid:以下MTXと略す)について解説する.MTXは主として各種の悪性腫瘍,白血病の標準的臨床治療および試験的治療に現在用いられている.MTXはその投与量,投与計画を操作することにより,その治療効果(中毒効果も)が劇的に変わるということが判っており,治療対象となる腫瘍に応じ,投与法が通常の少量投与low-dose therapyから極端に大量投与を行うhigh-dose therapyまで多岐にわたる.当然,その投与法に応じて中毒のリスクも変わるが,原則的には,標準的low-dose therapyでは,中毒リスクの高い患者を除いて,一般的にMTXの血中濃度モニタリングを行うことは必要とされない.一方,中毒リスクの高いhigh-dose therapyを受けている患者にとっては,その血中濃度モニタリングは必要不可欠であり,high-dose therapyは,血中濃度モニタリングが可能でかつ,それに随伴する種々の問題に対応できる施設,経験を持ったスタッフがない所ではこの上もなく危険で,行うべきではない.
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