今月の主題 胃・十二指腸潰瘍—その基礎と臨床のすべて
病因と病態生理
胃酸分泌と壁細胞受容体
大江 慶治
1
1小倉記念病院・内科
pp.2690-2692
発行日 1983年12月10日
Published Date 1983/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218800
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胃・十二指腸潰瘍の病態を粘膜損傷としてとらえるのでなく,潰瘍を成立させる条件が慢性疾患として存在すると考える場合,その治療は,胃酸分泌異常と萎縮性胃炎の治療という困難な問題に集約されることになる.このことは,胃・十二指腸潰瘍を活動期,治癒期のみならず,瘢痕期も含めたサイクルとしてとらえる考え方1)に基づくものであり,潰瘍を瘢痕化させることにおいて有効性の高い現在の潰瘍治療剤も,再発性慢性疾患としての潰瘍症の治療には無力であると言わざるをえない.この意味において,胃酸分泌機構に対する理解は個々の患者の病態の把握と,最近抗潰瘍剤として登場した受容体拮抗剤の使用に関連して,臨床上重要であると考えられる.
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