今月の主題 胃・十二指腸潰瘍—その基礎と臨床のすべて
病因と病態生理
胃液の役割
矢花 剛
1
,
畑 英司
1
Tsuyoshi Yabana
1
,
Eiji Hata
1
1札幌医科大学・第1内科
pp.2688-2689
発行日 1983年12月10日
Published Date 1983/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218799
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胃および十二指腸潰瘍の病因については,これまでSun1)の攻撃・防御因子バランス説をはじめ,全身性因子を含む多くの影響因子が研究対象にとり上げられてきたが,必ずしも核心をつくまでには至っていない.その多くは胃底腺から分泌される胃液(主として胃酸,ペプシン)による強力な自家消化作用が基本をなしているとみてよいし,胃液が接触する部位に潰瘍形成がみられるという事実から,両潰瘍はQuinke(1882)以来,消化性潰瘍と一括されて呼ぼれることが多い.しかし胃と十二指腸では形態学的,生理学的機能面にかなり相違がみられる上に,胃分泌面からみた疾病像も大きく異なる点から,両潰瘍の発生過程には胃液の関わりを含め何らかの差異があるものと推測されているので,最近の研究動向を含め概説してみたい.
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