臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
VI.肝・胆道・膵疾患
特殊な治療法
139.劇症肝炎の肝補助治療—人工肝補助装置と血漿交換療法
井上 昇
1
,
正木 尚彦
1
,
照屋 純
1
Noboru Inoue
1
,
Naohiko Masaki
1
,
Jun Teruya
1
1国立王子病院・内科
pp.2396-2397
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218680
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人工肝補助装置と血漿交換
人工肝補助装置(artificial liver support)は,体外で肝機能の一部を再現することによって肝不全の重篤な時期を克服する手段として用いられる.肝機能補助を目的として試みられてきた方法(表)は相当の数にのぼるが,大半は実験室レベルのものである.
現在実用化され臨床応用されている方法としては活性炭血液(血漿)灌流1),ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile,PAN)膜あるいはポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate,PMMA)膜など高透過性膜による血液透析または濾過2),出剔肝(ヒヒ,ブタ)灌流3)および血漿交換4)などがある.このうち血漿交換(plasma exchange)は血液浄化法の一つとして血液中のすべての分子量サイズの毒性物質を除去できるばかりでなく,置換液として新鮮凍結血漿を用いればアルブミンや凝固因子など肝不全のため欠乏した物質も同時に補給できる.すなわち解毒とともに代謝補助も期待できる長所があり,近年長足の進歩をとげた血漿分離技術を利用したon-line血漿交換システムの開発とともに劇症肝炎の治療法として普及している.
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