今月の主題 肝疾患のトピックス
肝不全の対策
人工肝補助装置
井上 昇
1
1国立王子病院内科
pp.1301-1303
発行日 1978年9月10日
Published Date 1978/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208026
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はじめに
広範で複雑な肝臓の機能を代行できる人工肝臓(artificiai liver)の開発は,長い間研究者の夢にしか過ぎなかった.
1974年LondonのKing's College Hospitalのグループ(R.Williamsら)1)が劇症肝炎の患者の治療に活性炭による血液浄化を行い画期的な治療成績を報告してから,体外で肝機能を代行させる試みが再びとりあげられるようになった.現在,実用化されている人工肝補助装置(artificial liversupport)は肝臓の解毒機能の一部を体外で代行できるが,合成・代謝などすべての肝機能を代償できるわけではない.したがって,肝再生の期待できる急性肝不全の症例を対象にして一時的な延命を目的にして用いられ,多数の成功例や救命率の改善が報告されている.
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