臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
V.消化管・腹膜疾患
再燃再発を防ぐための維持療法—いつまで服薬すべきか
108.腸結核が疑われる場合
有村 謙七
1
,
政 信太郎
1
1鹿児島大学医学部・第2内科
pp.2322-2323
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218649
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抗結核剤の出現以来,肺結核は減少し,それに伴って腸結核も臨床的にはほとんど忘れ去られようとしている.近年,腸結核に対する関心が高まり,積極的に腸X線検査が行われるようになってから,本症の報告も増えてきている.従来,腸結核は肺結核に続発する二次結核がほとんどで,腸に一次性に発生するのは稀とされていた1)が,最近では肺に明らかな結核病巣を認めない,いわゆる孤在性腸結核の報告も少なくない2).
腸結核の確診を得るためには,糞便中より結核菌を証明するか,あるいは腸管壁,腸間膜リンパ節より結核菌または乾酪性肉芽腫を証明する必要がある3).しかし,最近の腸結核は大部分が瘢痕化していて,昔とはかなり異なった様相を呈しており,実際にはこれらを証明することは難しい.確診は得られなくても,X線,内視鏡検査で本症に特徴的な所見が得られれば問題はないが,臨床的には小腸ではクローン病と,大腸では潰瘍性大腸炎との鑑別が難しく,治療に戸惑うことがある.本稿では,このような場合を含めて腸結核の一般的治療について述べる.
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