臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
IV.循環器疾患
薬物療法のポイント
68.心筋梗塞急性期の薬物療法—血行動態異常を伴わないとき
木全 心一
1
Shin-ichi Kimata
1
1東京女子医科大学心臓血管研究所・循環器内科
pp.2226-2227
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218609
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症例
66歳男性.生来健康で,心筋梗塞,狭心症の既往なし.
1983年1月23日の13時35分,昼食後歩行中に,胸骨部に圧迫感を生じたが2分位で消失.1月28日より,歩行時,TVを見ている時,排便時,就寝時などに胸骨部に絞扼感を生ずる.2〜3分で消失するが,日に3回位ある.時間帯は一定でない.1月30日の朝3時15分,激しい胸痛で目がさめ,冷汗を伴い,20分位で軽くなった.ある病院の救急外来を訪れ,狭心症と診断されisosorbide dinitrate(Nitrol®,以下ISDN)を発作時に舌下するように指示され,帰宅する.午前10時36分に再び胸痛を生じ,ISDNの1錠舌下で5分位でおさまる.自宅安静をしていたが,16時35分に再び胸痛を生じ,ISDNの効果が不十分なので,前述の救急外来を自分で車を運動して来院.来院時には胸痛はなく,心電図は正常に復していたが,患者の不安が強く,一晩仮入院となる.18時5分に胸痛を生じ,ISDNなど用いたが有効でなく,当科のMobil CCUの出動要請がある.この間胸痛はいくぶん軽くなったが,23時に再び増強し,23時30分に当科CCUに収容される.
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