巻頭言
急性心筋梗塞の血行動態
村上 暎二
1
1金沢医科大学循環器内科
pp.119
発行日 1981年2月15日
Published Date 1981/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203713
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わが国においても近年心筋梗塞の増加は著しいものがあり,早晩必らず社会的問題として取り挙げられるものと考えられるが,現時点におけるその対策はいささか貧困と言わざるをえない。心筋梗塞の医学的対策の1つとしてCCUの適切な配置と運営が重要であることは言うまでもない。さてCCUの第1の目的は梗塞発症時の不整脈特に心室細動の早期発見と治療,更にはその予防にある。現在良く運営されているCCUではこの目的はほぼ達成されているものと考えられる。いわゆるelectrical failureの治療は満足すべき成果を挙げたものと言えよう。しかしこのようなrhythm deathの減少につれて,第2,第3の問題が生じてきた。心不全やショックなどのpump failure,更には乳頭筋や腱索の断裂,中隔穿孔などのmechanicalあるいはstructural failureとも言うべきものへの対策である。このためには心電図のモニターと同時に,血行動態の常時モニターが必要であることは言うまでもないが,これはSwan-Ganzカテーテルの出現によって容易になった。
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