今月の主題 各種病態における抗生物質の使い方
神経疾患
開頭手術後の感染
神田 龍一
1
Ryuichi Kanda
1
1東京慈恵会医科大学・脳神経外科
pp.1864-1865
発行日 1983年11月10日
Published Date 1983/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218499
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脳神経外科領域での術後感染
昭和52年より56年までの5年間に教室でみられた術後感染症は,髄膜炎33例,骨髄炎2例,硬膜外膿瘍1例,創部皮下膿瘍2例であり,髄膜炎が術後感染症の大部分を占める.これら33例の髄膜炎例の手術様式をみると,単に開頭手術のみのもの9例,開頭術後に持続脳室ドレナージ,あるいはshunt手術を要したもの20例,shunt手術や持続脳室ドレナージ施行中に感染を起こしたもの4例である.すなわち,術後髄膜炎感染例の2/3以上は,何らかの形で側脳室内にtubeを挿入してあった症例である.
持続脳室ドレナージあるいはshunt手術を必要としている症例は,髄膜炎が起こると原疾患の治療や非交通性水頭症の治療が困難になる.さらに,表にみられるような起炎菌の各抗生剤に対する最小発育阻止濃度(MIC)は比較的高いものが多く,抗生剤の全身投与とともに,髄腔内投与が必要となってくる.それゆえ,本稿では術後髄膜炎に対する抗生剤の髄腔内投与法について述べることにする.
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