境界領域 転科のタイミング
大腸憩室炎
今 充
1
Mitsuru Konn
1
1弘前大学医学部・第2外科
pp.1786-1790
発行日 1983年10月10日
Published Date 1983/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218487
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悪性腫瘍と,外科的治療の絶対適応といわれる疾患を除いては,一般に外科的治療の適応とその時期に関してはいつでも大問題となり,判定に憂慮するのが常である.患者はもちろん,医師もできうるならば内科的治療にて軽快せしめたいと望む.その結果として病勢は軽快に向わず,逆に進行して合併症を併発し,外科的治療に際しても難渋する症例をしばしば経験する.
大腸憩室では,膀胱瘻や糞瘻を形成した場合はほとんど絶対的外科適応症例となる.また穿孔を併発し,汎発性腹膜炎を惹起したり,大出血をきたした症例などでは緊急手術の対象とならざるをえない.とくに前者の場合など,リスクの程度によっては一期的手術が不可能となり,やむなく三期手術を計画せざるをえず,社会復帰までの期間がいたずらに長くなることも経験する.かといって20歳を過ぎて発見されたびまん性(家族性)大腸ポリポーシスは即手術適応といわれるような普遍的な適応条件を,ほぼ無症状で過ごしている大腸憩室症例に定めえないと考えるのが現況であろう.
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