今月の主題 肝硬変と肝癌
肝癌の治療と対策
肝切除
山崎 晋
1
,
長谷川 博
1,2
,
幕内 雅敏
1
Susumu Yamasaki
1
,
Hiroshi Hasegawa
1,2
,
Masatoshi Makuuchi
1
1国立がんセンター病院・外科
2国立がんセンター病院・外来部
pp.1540-1544
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218431
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肝癌の切除療法は歴史が浅いことと,近年の肝診断学の急速な進歩による外科周辺の新しい知識の集積,肝動脈塞栓術(TAE)という肝切除にとって強力なライバルの出現,など肝外科をとりまく環境の激しい変化のために肝癌切除療法の理念もどんどん新しいものにぬり変えられている.まさに激動の渦中にある.
ほんの5〜6年前までは,切除の対象となる肝癌は肝硬変を合併しない大型肝癌が大部分で,外科医は切除適応を考えるとき,肝癌の局所状況と手術手技とについて考えておれば済んだ.当時少数ながら肝硬変を合併した肝癌も外科に送られてきたが,非合併例切除の知識しかもたぬ外科側は,肝硬変合併例に対し,非合併例での知識を流用して手術を行った.当然成績は不良で,たまたま運の良い症例のみが耐術できた.
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