今月の主題 肝硬変と肝癌
肝癌の治療と対策
塞栓療法
山田 龍作
1
,
佐藤 守男
1
Ryusaku Yamada
1
,
Morio Sato
1
1和歌山県立医科大学・放射線科
pp.1538-1539
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218430
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肝動脈塞栓術とは,腫瘍を栄養する肝動脈内に選択的に血管カテーテルを挿入し,塞栓物質を注入し,阻血により腫瘍を壊死に陥らせようとする治療法である.肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術が広く臨床的に応用されるようになりつつあるが,その理由は2点ある.その第1点は肝細胞癌はほぼ100%肝動脈栄養由来で,阻血の治療法にきわめて感受性が高いこと,第2点は非癌部肝組織が動脈と門脈の血流の二重支配をうけており,肝動脈阻血においても耐えうる能力があることである(図1).人間の門脈の酸素分圧は高く,したがって肝動脈枝が閉塞されても肝組織は梗塞に陥ることはない.すなわち,肝動脈塞栓術は腫瘍のみを選択的に壊死に陥らせる治療法であるということができる.
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