今月の主題 肝硬変と肝癌
肝癌の治療と対策
免疫調節剤
長島 秀夫
1
,
有馬 暉勝
1
Hideo Nagashima
1
,
Terukatsu Arima
1
1岡山大学医学部・第1内科
pp.1526-1527
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218426
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現在行われている免疫療法は主として非特異的免疫療法である.また,免疫調節剤(賦活剤)のみで行われる免疫療法は少なく,多くは抗癌剤と組み合わせた免疫化学療法が行われている.肝癌においても免疫療法が期待されるが,その有効性については十分な検討がなされていない1).それを困難にしている原因は臨床効果判定基準の設定が難しいことである.また,長期間の観察と厳密なrandomized trialを必要とする.免疫療法の効果判定には,長期的には生存期間の延長の有無,中期的にはKarnofskyの判定基準2)が有用と思われるが,短期的には,表に示した免疫学的パラメターの変化も参考になる.しかし,患者の生存率に影響を与える因子としては,性,年齢はもとより,合併する肝疾患(肝硬変または慢性肝炎)による肝予備能の低下の程度,肝癌の組織型と分化度,腫瘍の大きさと占居部位などが考えられ,延命効果の判定にあたっては症例の選択が難しく,慎重を要する.
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