講座 臨床薬理学 薬物療法の考え方・17
老年者における薬物投与法—老年者の生理と薬物投与設計の基本概念
中野 重行
1
Shigeyuki Nakano
1
1愛媛大学医学部・薬理学
pp.1411-1418
発行日 1983年8月10日
Published Date 1983/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218404
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
人口構成の高齢化にともなって,薬物療法を受ける老年者の数は年々増加の傾向を示している.老年者の薬物療法で注目すべきことは,薬物による有害反応(adverse drug reaction)の頻度が,若年者に比較して増加するということであろう1〜3).たとえば,薬物有害反応の頻度は,40歳代で約12%であるのに比較して,80歳以上になると約25%に増加する4).また,薬物有害反応の出現頻度が加齢に伴って増加し,70歳代には20歳代に比較して約7倍になるとの報告もある5).
それでは,老年者に薬物による有害反応がこのように増加するのは一体どのような理由によるのであろうか?また,老年者における薬物療法時に有害反応の出現を最小限にとどめるためには,予防的にどのようなことを行えばよいであろうか?今回は,老年者における合理的な薬物投与法について考えてみることにしよう.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.