今月の主題 水と電解質
調節因子とその異常
PTH,ビタミンD,カルシトニン
松本 俊夫
1
,
尾形 悦郎
1
Toshio Matsumoto
1
,
Etsuro Ogata
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.708-711
発行日 1983年5月10日
Published Date 1983/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218252
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体内のCaバランスは,腸管からの吸収,骨における出入り,腎からの排泄,の3者間の動的な平衡関係により維持されている.この平衡関係を調節することによりCa代謝をコントロールしているのが,PTH,カルシトニン(CT),ビタミンDといったCa調節ホルモンである.これらCa調節ホルモンの分泌は,体内Caバランスを反映するいくつかの因子により調節されている.このうち最も重要な調節因子は,血中Ca値の約50%を占めるイオン化Ca(Ca2+)レベルである.すなわち血中Ca2+濃度の変化は,ただちにPTH,CT分泌の変化をもたらし,さらにこれらを介したビタミンD活性化反応の変化による活性型ビタミンD生成の調節により,Caバランスの回復がはかられることになる.
このようなPTH,ビタミンDおよびCTによるCa代謝調節機構を理解するには,これらCa調節ホルモン個々の分泌調節および作用を理解する必要がある.そこで本稿では,まずPTH,活性型ビタミンD,CTの分泌調節機構および作用を概説した後,これらの異常に基づく疾患およびその病態の概略を述べてみたい.
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