今月の主題 腎疾患—早期診断から管理まで
質疑応答
活性型ビタミンD(1α(OH)D3)の投与法と検査
多久和 陽
1
,
尾形 悦郎
1
Yo Takuwa
1
,
Etsuro Ogata
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.470-471
発行日 1984年3月10日
Published Date 1984/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218955
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腎疾患の領域において活性型ビタミンD治療の適応となる疾患は主として慢性腎不全に伴なう骨病変(これらは腎性骨形成不全症renal osteodystrophyと総称される)である.血液透析の進歩,腎移植術の発展により,慢性腎不全患者の生命的予後が改善されるとともに,腎性骨形成不全症の管理は臨床的にますます重要な問題となってきている.本症の基本的な病変は組織学的には線維性骨炎(osteitis fibrosa)と骨軟化症(osteomalacia)である.近年のPTH,ビタミンDをめぐるCa内分泌学の進歩により腎性骨形成不全症の病態生理に関する理解はすすみ,二次性副甲状腺機能亢進症,活性型ビタミンDの欠乏,代謝性アシドーシスなどが本症の発症に関与することが明らかにされた.このように,慢性腎不全におけるビタミンD代謝異常の存在が明らかにされるとともに,合成活性型ビタミンDあるいはそのアナログが腎性骨形成不全症の治療に導入され,有効性が示された.現在わが国で,本症の治療に用いられている活性型ビタミンDは主として1α(OH)D3である.
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