今月の主題 水と電解質
電解質異常の実際
高Ca,低Ca血症
多久和 陽
1
,
松本 俊夫
1
,
尾形 悦郎
2
Yoh Takuwa
1
,
Toshio Matsumoto
1
,
Etsuro Ogata
2
1東京大学医学部・第4内科
2東京大学医学部
pp.726-730
発行日 1983年5月10日
Published Date 1983/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218258
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健常人の血清中には,およそ10mg/dlの濃度でカルシウム(Ca)が存在する.このうち約50%は蛋白と,約5%はリン酸,クエン酸などの陰イオンと結合しており,残りの45%がカルシウムイオン(Ca++)として存在する.血清中のCaのうち,神経・筋の興奮性,ホルモン作用の発現,分泌現象,酵素活性の調節など種々の生理機能の発現に密接に関連しているのはCa++の分画であり,血清Ca++濃度は恒常性維持の機構によって狭い範囲の厳密な調節をうけている.高Ca血症,低Ca血症は血清中の総Ca濃度の異常を呈する疾患であるが,その本態は恒常性維持機構の異常によって生ずるCa++濃度の変化にあり,血清Ca++濃度の上昇あるいは下降に基づく症状,生物作用が問題となる疾患である.本稿では血清Caの代謝調節の要点を述べ,主に高Ca血症,低Ca血症の成因.病態,診断などを中心に概説する.
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