今月の主題 膵疾患診療のトピックス
形態学的診断法
CT—膵炎と膵癌の鑑別
板井 悠二
1
Yuji Itai
1
1東京大学医学部・放射線科
pp.548-550
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218211
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頻度も高く日常臨床でもしばしば遭遇する膵炎と膵癌は,膵の形態的変化をきたす2大疾患であり,治療法,予後も異なるため,CTのような非侵襲性検査で鑑別できるのなら,その福音は大きい.
両疾患は頻度は異なるものの,共通のCT所見を有している.すなわち膵腫瘤を形成し,膵管拡張や膵萎縮を来たし,脾静脈などの血管を閉塞し,側副血行路を生じ,また総胆管の閉塞,狭窄より閉塞性黄疸を発来する.さらに癌にてのう胞(偽,貯溜)は2次的に生じ得,膵石の存在は癌の発生率を上昇させる.一方,膵癌周囲に膵炎を合併することは多い.このように考えるとき,膵炎と膵癌をCTのような画像診断手法で鑑別することの困難さは容易に予想される.
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