今月の主題 自律神経失調症—心身症としての考え方・扱い方
自律神経失調症とは
学童期および思春期にみられるもの
岩波 文門
1
Fumio Iwanami
1
1防衛医科大学・小児科
pp.1754-1755
発行日 1982年10月10日
Published Date 1982/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217947
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高学年の学童期には起立性調節障害(O. D.)が多くなる.この主症状はめまい・立ちくらみという症状に集約されてよいと思う.そして思春期にかけて増加してくるものに過敏性大腸症候群,過換気あるいは過呼吸症候群,神経性食欲不振症あるいは思春期痩症と呼ばれているものなどがある.このほかに幼児期あるいは低学年の学童期から引き続いて症状を示している夜尿症,気管支喘息,チックなどもあり,また起立性蛋白尿もあるが,今回は代表的なものとして過敏性大腸症候群,過換気症候群および神経性食欲不振症について述べることとする.
さて自律神経失調症とくに心身症と呼ばれるものの発症には,不適当な環境条件がこの原因あるいは誘因として欠くことのできないものであるが,小児自身の個体に関する内的条件が大きな意義をもっている,つまり図1に示したように形成された個体差で,とくに図2に示したように自律神経不安定性および情緒不安定性のある個体が環境に上手に適応できないばあいに本症の発症をみることが多い.一方,自律神経機能も安定し,情緒も安定している個体でも,ごく悪い環境の中におかれた場合には,一過性に軽い心身症状を呈することはあり得る.
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