今月の主題 癌治療の最前線
外科治療の進歩
末舛 恵一
1
Keiichi Suemasu
1
1国立がんセンター病院・外科
pp.996-997
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217781
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癌の治療の中で外科は最も歴史が古く,たとえば,胃切除の歴史は100年であり,永い間癌治療の主役であった.その間にその成績も着実な向上をみせてきている.いまではほとんど外科的な切除の不能な部位はなく,安全性は高く,術後の患者に与える形態や機能の損害もまた最小にとどめうるようになってきている.
残念なことには,癌はある時点からは確かな全身病である.全身化のはじまりは診断することがむずかしいので,外科手術はしばしばそれに気付かずに行われ,したがって外科治療成績は100%でありえず,癌の種類によっては,それはわずかに10〜20%の5年生存率にすぎない.
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