今月の主題 血清リポ蛋白の異常
リポ蛋白異常と各種疾患
腎炎,ネフローゼ症候群
清水 隆
1
Takashi Shimizu
1
1日本大学医学部・第2内科
pp.834-835
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217750
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腎疾患と高リポ蛋白血症の関係では,腎機能に異常のない場合としてネフローゼ症候群患者が,腎機能低下を示す場合として腎不全〜透析患者が,研究の対象としてあげられる.近来,欧米では腎移植患者の脂血症が,ステロイドホルモンとの関係で問題とされている.ネフローゼ症候群(NS)の血管障害に対する血液生化学的特性として普通あげられるのは,①高リポ蛋白血症(Fredricksonら),②高フィブリノーゲン血症(Wardleら),③anti-thrombin III低下に伴う血栓傾向(Kauffmanら)であるが,さらにNSの低アルブミン血清は血小板凝集能が高く(Remuzziら),膜cholesterol(chol)の増加が血小板の凝固性を亢進させることが知られている.ネフローゼ期の短いものでは問題ないが,持続する高度の蛋白尿をみる症例では血管事故が推定され,臨床的な面から,また,剖検例からの報告がある.
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