臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
腎臓
腎単純嚢胞と他病変との鑑別
pp.2259-2261
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217503
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腎の単純嚢胞は50歳以上の人口の50%以上に見られるとされ,非常に頻度の高い疾患である.筆者らの経験でも,腹部の他臓器を目標に行ったCT検査で偶然に発見されるものが多い.腎のmass lesionの95%以上は単純嚢胞であり,単純嚢胞であれば,無症候であるかぎりは治療を必要としないので,腎のmass lesionの診断にあたっては,単純嚢胞と充実性病変の区分を能率よく行うことが重要である.
超音波断層は腎のmass lesionのスクリーニングにこのような目的で使われ,単純嚢胞の大部分のものは超音波断層で確診可能である.しかし,一方では,嚢胞壁に発生するような悪性腫瘍や,中心部の壊死,液化のために単純嚢胞との区別が困難な腎腫瘍の症例も存在することが明らかになってきたため,施設によっては,経皮的に腎嚢胞の穿刺を行い,内容液の生化学検査,細胞診,嚢胞内腔の造影も行われるようになりつつあった.
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