臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
腎臓
腎腫瘍性疾患に対するCTの役割
pp.2262-2270
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217504
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
充実性腎腫瘍の大部分は悪性であるため,原則として外科的治療の対象となる,腎腫瘍の性質についてのCT診断は,腎過誤腫,脂肪腫などのように脂肪成分を含むようなものでは例外的に可能であるが(図17,18),大部分の症例ではCTから腫瘍の組織診まで確実に行うことは困難であり,臨床的にも大きな意味はない.したがって,腎腫瘍性疾患に対するCTの役割は主として腫瘍のstagingにあり,腎腫瘍と腎周囲構造物の立体的関係を同時に描出できるCTは,この点で非常に有用で,手術所見とCT像はよく対応する4).
腎腫瘍(腎細胞癌)に対する標準的なstaging分類は表に示した.筆者らの経験で,手術的に腎細胞癌であることが確認された30例について,CT上stageII以下であると判定された16例については,すべて正診であった.腎細胞癌のように血行豊富な腫瘍では,実際に腎筋膜や後腹膜への浸潤がなくても,腎被膜動脈,腰動脈などから腫瘍への血行が描出されることがあり,parasitic blood supplyとして知られている.このような場合には,血管造影では正確なstagingは困難であり,stageII以下の腫瘍については,CTの信頼性が高いと思われる.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.