他科のトピックス
膀胱腫瘍の温水療法
岡田 清己
1
Kiyoki OKADA
1
1日本大学医学部・泌尿器科
pp.1286-1287
発行日 1981年7月10日
Published Date 1981/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217269
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日本人の泌尿生殖器系癌は消化器系,呼吸器系癌に比べ,その発生頻度はそれほど高くはない.しかし,膀胱腫瘍は泌尿器系悪性腫瘍のなかで最も多く,最近の統計でも増加の傾向にある。膀胱腫瘍は早期発見できれば根治的療法が可能であるが,多くは高年齢層のため,または合併症を有するため手術を行うことが困難な場合がみられる.そのことから,合併症のある患者に対しても行うことのできる治療法の開発が望まれた.
一方,温熱は正常組織を破壊することなく,選択的に腫瘍組織を破壊することが明らかとなり,温熱療法も癌治療になりうることが考えられていた.さらに,温熱は放射線感受性を高めること,抗癌剤の効果を増強させることが基礎的研究より見出されてきた.ただ,温熱療法を癌治療に応用するには手技に難点があり,また強い副作用を併発することが予想されたため実用化するには至っていなかった.温水療法とは,温水にて臓器温度を上昇させる方法で,温熱療法の特殊型である.今回,まず温熱療法の基礎的実験結果の概要を述べ,次に臨床例について検討する.
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