交見室
膀胱腫瘍TURにおける閉鎖神経ブロックについて/温水療法雑感
小柴 健
1
1北里大学泌尿器科
pp.996
発行日 1982年10月20日
Published Date 1982/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203449
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臨泌36巻8号の岡村先生らの論文拝読しました。 閉鎖神経の刺激によつて起こる大腿内転筋群の急激な収縮反射は膀胱腫瘍のTURに際して最も注意を要する危険な現象であり,筆者もその対策には長年にわたつて苦慮してきた。またこの現象が膀胱腫瘍の好発部位である尿管口周辺ならびにその外側部のTURに際してよく起こることも一層この問題を大きくしていた。従来はその対策として気管内挿管による全麻下で,十分な筋弛緩剤の使用のもとにTURを施行するのが通例であつたが,この論文の著者らも述べているように,TURの対象となる患者には呼吸器系に合併症を持つた高齢者も少なくなく,腰椎麻酔ないしは硬膜外麻酔下で手術を施行する方がより簡便かつ安全であることは論をまたない。
最近麻酔関係の論文に膀胱腫瘍のTURに際して閉鎖神経ブロックを併用することの効果が散見されるようになり,北里大学病院においても麻酔科の協力のもとに1981年6月から現在まで,10症例に対して目盛付ルンバール針を使用し,エピネフリンを添加した1%もしくは2%キシロカイン10mlを注入薬として用いて好結果を得ているが,この論文に紹介されたneutra-cerとpole針を用いる方法は閉鎖神経ブロックをより簡便かつ確実にするものとして注目される。また著者らがそれを早急に取り入れ,18症例に使用した好成績を報告したことは敬服に値する。
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