clinical topics
未分化肺癌—とくに小細胞癌の治療
小松 彦太郎
1
Hikotaro KOMATSU
1
1国立療養所東京病院・呼吸器科
pp.1288-1289
発行日 1981年7月10日
Published Date 1981/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217270
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肺癌は,他の臓器の癌に比較して種々の組織型が存在することが特徴である.未分化癌には大細胞癌と小細胞癌が含まれるが,大細胞癌は,巨細胞癌を別にすれば,病理学的に充実蜂巣を形成し,粘液染色が陰性なもので,扁平上皮癌にも腺癌にも分類できないものをいい,診断上も治療のうえからも,扁平上皮癌および腺癌の低分化なものとの差は,はっきりしない.一方,小細胞癌は気管支のKultschitzky細胞由来の癌といわれ,APUD系腫瘍と同様の特徴をもち,argentafin陽性の顆粒および電顕上神経分泌顆粒を細胞質内にもっており,ホルモン産生腫瘍としても有名で,臨床症状を示さない例でも,血中および組織中にACTH,セロトニン,MSHなどが証明される例が報告されている.そのほかにも,低Na血症,尿中へのNa排泄,血清浸透圧低下を示す異所性ADH,分泌症候群,重症筋無力症様症状を示すEaton-Lambert症候群などがみられる.また,小細胞癌は,doubing timeが平均33日とその発育速度は早く,早期にリンパ節および遠隔臓器に転移し,5年生存率も全国集計で1.3%と,他の組織型に比較して著しく悪い.
以上のように,小細胞癌は,発生論的にも症候論的にも,また診断のうえでも予後のうえでも,他の組織型と異なった特徴がみられる.そこで,未分化癌の中でも小細胞癌の治療を中心に述べることにする.
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