今月の主題 出血とその対策
吐血・下血
緊急内視鏡診断
竹本 忠良
1
Tadayoshi TAKEMOTO
1
1山口大学医学部・第1内科
pp.754-755
発行日 1981年5月10日
Published Date 1981/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217150
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歴史
最近では,上部消化管出血例とくに大量出血例に対する緊急内視鏡検査(urgent endoscopy,emergency endoscopy,Notfallendoskopie)の重要性が,ひろく認識されるようになってきた.大変喜ばしい傾向である.
もともと,上部消化管出血例に内視鏡を含めた検査を積極的に行うことが,出血源の確実な早期診断にきわめて有用であることを,大変熱心に唱えたのはアメリカのPalmer ED(1952)であった.彼の提唱したvigorous diagnostic approach(VDA)という言葉は,今日でも力強く生きている.当時は,現在のようにファイバースコープが出現していなかったので,PalmerとかKatzのような内視鏡専門家が使ったスコープは,硬式の食道鏡および硬性,軟性の胃鏡であった.そのため,十二指腸の出血病変を内視鏡で直接確認することができなかったので,PalmerのVDAではX線検査の併用を必要条件とした.Palmerの熱心な研究は,1961年にDiagnosis of UpPerGastrointestina1 Hemorrhage(Thomas)にまとめられたが,この本は1970年Upper GastrointestinalHemorrhage(Thomas)と大改訂された.
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