臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XI.感染症
全身性播種性結核 VS 腸チフス
青柳 昭雄
1
Teruo AOYAGI
1
1国立療養所晴嵐荘病院
pp.2090-2091
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216889
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なぜ鑑別が問題となるか
全身性播種性結核(generalized miliary tuberculosis, GT)は胸部X線にて撒布性陰影を呈し,喀痰中に結核菌が証明されれば診断は容易であるが,10〜30%の症例はX線にて異常所見を示さず,喀痰中結核菌の塗抹陽性率も約20%と低率である.しかもGTでは発熱,頭痛,全身倦怠,食思不振ではじまり,熱も稽留し,著明な脳症を伴う腸チフス型と呼ばれる症状を呈することがある。
一方,腸チフス(typhus abdominalis, TA)でも乾性咳噺,肺野にラ音を聴取するなどの呼吸器症状を示し,また頭痛,項部強直などの髄膜刺激症状を呈し,GTに結核性髄膜炎を合併した場合と類似の症状を呈する.
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