臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XI.感染症
赤痢 VS サルモネラ腸炎
矢島 太郎
1
Taro YAJIMA
1
1東京都立駒込病院・感染症科
pp.2088-2089
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216888
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なぜ鑑別が問題となるか
両者とも下痢,腹痛といった消化器系の症状を主徴とする急性の感染性疾患である.細菌性赤痢は,発熱,腹痛,膿粘血便,しぶり腹といった4大主要症状を呈する法定伝染病の1つで,また食中毒の一種であるサルモネラ腸炎は,頻回の水様性下痢(時には血液を混入することもある),腹痛といった症状を呈し,過去においては,この両老の鑑別は細菌学的検索の結果をまたなくとも比較的容易であった.
しかし,最近になって赤痢の国内発生が大幅に減少し,かわって,いわゆる輸入感染症といわれるような海外よりの旅行者,とくに東南アジア方面からの帰国者によって持ちこまれる赤痢が非常に多くなってきている.このため臨床症状も数回の下痢と軽い腹痛だけで終わってしまうような軽い症状の赤痢もみられるようになり,その軽症化が目立ってきている.
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