検査と主要疾患・27
腸チフス
中溝 保三
1
1都立荏原病院
pp.320-321
発行日 1975年3月15日
Published Date 1975/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908913
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腸チフスはチフス菌の感染によって腸管のリンパ組織に特有の潰瘍性病変を起こすとともに,菌血症による全身性の疾患に発展して,独得の熱型,徐脈,バラ疹,脾腫などの症状を呈する急性の伝染病である.本症は近年その発生が激減しているが,最近東南アジア方面において,チフス菌が本症の特効薬であるクロラムフェニコールに対する耐性を獲得しつつあるとの情報も伝えられているため,もしも近い将来にクロラムフェニコール耐性のチフス菌が,わが国においても流行を引き起こすことになれば,治療困難な腸チフスの発生も予想せざるを得ないことになろう.
本症の臨床診断は,難しい場合が多いので,その確診は菌の検出と血清学的診断に待つところが大きいといえる.
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