臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IV.肝・胆道・膵疾患
急性膵炎 VS 急性胆のう炎
鈴木 紘一
1
Koichi SUZUKI
1
1国立大蔵病院・消化器科
pp.1924-1925
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216814
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なぜ鑑別が問題となるか
食餌摂取を誘因として,しばしば突然に,きわめて激しい上腹部痛をきたす疾患の中で,この両者は最も代表的な疾患である.これらの鑑別にあたって問題となるのは,それぞれが特有な,独立した病態を呈するのではなく,多かれ少なかれお互いが合併する点である.すなわち急性膵炎の原因の中で胆石症はアルコール過飲とならんで最も重要であり,胆石が急性胆のう炎を惹起する一方,乳頭部あるいは胆管への炎症波及により胆汁うっ滞をひき起こすことになる.急性胆のう炎は,そのほとんどが胆のう結石の頸部嵌頓によりひき起こされ,その1/3に随伴性膵炎を合併してくることは1),発作時の血清あるいは尿アミラーゼの一過性上昇がみられることからも明らかである.常に相互の影響を考慮しつつ鑑別されねばならない.
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