今月の主題 アレルギーの現況
診断・検査法
IgEの性状と検査
河合 忠
1
1自治医科大学・臨床病理学
pp.1012-1013
発行日 1980年7月10日
Published Date 1980/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216582
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IgEの構造と機能
免疫グロブリンE(IgE)は,ヒトのアレルギー反応に関与するレアギン抗体として1966年石坂らにより発見された.
IgEは分子量196,000,沈降定数8Sで,fast-γ1域に泳動され,12%にも及ぶ多量の糖質を含有し,単位分子は1対のL鎖(κ鎖またはλ鎖)と1対のε鎖から成っている.IgE骨髄腫蛋白について,とくにその構造が明らかにされつつある.すなわち,ε鎖は550個のアミノ酸残基から成り,多数のメチオニンを含むのが特徴である.またε鎖は図に示すように,IgMのμ鎖と同様に1つの可変部(Vε)と4つの不変部(Cε 1,Cε 2,Cε 3,Cε 4)の5つのドメインを有する.ε鎖は15個のhalf-cysteinsを含有し,そのうちの10個はそれぞれのドメインの鎖内SS結合を形成し,また1個は対応するL鎖と2個はCε 2をはさんで対応するε鎖と鎖間SS結合を形成している.残りの2個のhalf-cysteinsはCε 1ドメインをはさんで鎖内SS結合を作っている.
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