特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント
腹部
各論
膵臓
入江 裕之
1
1佐賀大学医学部放射線科
pp.278-286
発行日 2009年11月30日
Published Date 2009/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104192
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正常解剖と正常膵のCT・MRI
●正常解剖
膵は十二指腸下行脚~水平脚,上行結腸,下行結腸と同様,前腎傍腔に存在する後腹膜臓器であり(図1),内外分泌機能を有する腺組織である.膵癌取扱い規約では頭部,体部,尾部に分類され,門脈左縁より右側が膵頭部,左側が膵体尾部であり,さらに膵体尾部は二等分して体部と尾部に分けられる(図2).解剖学的にはその他,頸部,鈎部があり,頸部は上腸間膜静脈と脾静脈の合流部の腹側にあたる領域を指し,鈎部は頭部の左下縁で上腸間膜静脈の背側に位置する.頸部,鈎部ともに膵癌取扱い規約では頭部に含まれる.
膵頭部,体部は前面が壁側腹膜に覆われ,後面が前腎筋膜に隣接し,純粋に後腹膜に存在するのに対して,尾部は脾腎間膜内に存在し,前後面ともに腹膜で囲まれ,腹腔内に存在する.体尾部の前面には小網と呼ばれる腹膜腔が存在する.横行結腸間膜は頭部前面に付着して体尾部方向に横走し,小腸間膜は横行結腸間膜の後層から連続して頭部前面より起始し,鈎部前面を横走下行する(図3).これらの間膜は種々の膵病変の進展経路となるため重要である.
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