今月の主題 アルコール性障害のトピックス
臓器障害,なぜ起こるか
膵臓
小田 正幸
1
,
本間 達二
1
,
長田 敦夫
1
1信州大第2内科
pp.1352-1353
発行日 1976年10月10日
Published Date 1976/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206767
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はじめに
アルコール過飲が膵炎の原因となることは古くより知られ,最近,わが国でもアルコール膵炎は著しく増加してきている.1974年,厚生省慢性膵炎調査研究班の報告工)では,慢性膵炎のうちアルコールが関与すると思われる症例は約半数に達している.
この背景には,わが国での近年のアルコール消費量の著しい増加があると思われ,外国での報告をみても,慢性膵炎患者とアルコール消費量はほぼ正の相関が認められている.しかし,アルコール膵炎の頻度は国や民族(地理的因子,遺伝,体質),食生活(栄養因子)によって差があること,また,大酒家でも膵炎を発症しない人の方が多く,さらにアルコール膵炎とアルコール肝硬変を同時に合併することはまれであることなど,アルコールと膵との関係は疫学的事項からみても複雑である.
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