臨床医のための心の科学
ヒステリーの病態と患者に対するアプローチ
加藤 敏
1
1自治医大精神科
pp.2164-2167
発行日 1979年11月10日
Published Date 1979/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216303
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はじめに
近年,ヒステリーが痙攣とか運動麻痺といった派手な身体症状を呈するものから,自律神経系の支配領域に発展する目立たないものへと変貌をとげつつあることは多くの学者が指摘するところである.しかし,ヒステリーが身体病と類似の症状を呈することに変わりはない.事実,われわれ精神科医が関与するヒステリーの多くは,まず内科や外科を受診し,そこから紹介されたケースであり,ヒステリーの診断の第一歩は精神科以外の医師の丁に委ねられているといって過言でない.そこで,ヒステリー理解の一助として,本稿ではまず病態について述べ,次いで,ここから示唆されるヒステリー患者の適切な対応について2,3指摘したい.
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