今月の主題 血管炎とその臨床
血管炎の治療
血管炎治療の問題点と限界
柴田 整一
1
1東大第3内科
pp.2122-2125
発行日 1979年11月10日
Published Date 1979/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216295
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血管炎を伴う疾患に対する治療の姿勢
最近になってSLE.その他の膠原病諸疾患や,それに近縁な諸疾患を"血管炎を伴う諸疾患"という角度から観直そうという傾向が出てきたことは,約20年来これを主張1〜8)してきたものにとっては大変嬉しいことである.私どもが主張しはじめた頃は,この考え方は完全に無視されたのであるが,それでもあえて主張し続けてきた最大の目的は,われわれは病理学者でもないので原理的なことで新説をという気は毛頭なくて,治療,ことに長期治療を行ってゆく上でこの考えに立脚しない限り,納得のゆく治療を行うことはほとんど不可能であるということを痛感してきたからであった.
たとえばSLEという同じ診断名が下されていれば教科書にあるような画一的な治療が行われがちであるが,少しく経験をつんだ医師であれば,たとえ急性期をうまく通りぬけるところまではほぼ画一的に治療を進めることができたとしても,そこから先をどうするかというときになって,症例によりその対応の仕方は実は千差万別で,いわばcase by caseであるという印象を受け,さて,どこによりどころをおいて治療を続けてゆけばよいのかと困惑することになってしまう.そこのむずかしさを今さらのごとくに知るようになるということが多いのである.
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