特集 ガン対策の現状
胃ガンの発見は集検でことたりるか—その限界点を求める
丸谷 正蔵
1
1日赤中央病院癌治療研究部
pp.18-23
発行日 1963年11月10日
Published Date 1963/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202965
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わが国の胃ガン
(1)わが国の胃ガンの特異性
わが国では,悪性新生物による死亡率は諸外国に比べて必ずしも高くはないが,胃ガンの死亡率は世界最高であり,しかも,諸外国では年々減りつつあるのに逆に年々ふえつつある.わが国の悪性新生物の死亡者のうちの胃ガンの占める割合は,実に男では50%余,女では40%近くである.
(2)どれほどの胃ガンが治されているか
わが国では,ガン患者の登録が行なわれていないので,胃ガン患者の実数もその転帰もわかっていない.大学病院やガン専門病院からの報告によれば,入院胃ガン例中の根治切除例の割合(20〜60%)や根治切除例中の5年生存例の割合(10〜40%)を知りうるが,それらは比較的好運な患者に基づいた数字である.病院に入院しないで死んでゆく患者が多いことを考えると,全胃ガン患者のうち手術後5年生存しているものは5%未満にすぎないだろう.
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