今月の主題 血管炎とその臨床
血管炎の概念
病理学的立場から
京極 方久
1
1東北大第1病理
pp.2042-2044
発行日 1979年11月10日
Published Date 1979/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216270
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
最近,血管炎がにわかに注目を浴びてきた,その理由はいわゆる"難病"として厚生省の指定した疾患の中に,血管に病変のあるものが非常に多かったことがきっかけであろう.事実,その病因も不明で,診断,治療いずれも困難なものが多い.厚生省でもこれらの血管炎群を総合した"系統的血管病変"に関する研究班を組織して重点的に研究を遂行している.構成メンバーはいずれもその道の専門家ばかりであるが,その討議の間にいくつかの基本的な問題点が浮き彫りになった.
その最大のものというか,最も基本的なものは"血管炎の概念"についての各研究者の間の微妙な食い違いである.専門家の間でかなりの落差のあったのは臨床家と病理学者の間であり,次には臨床間で内科医と皮膚科医の間であり,病理学者の間でさえ,時にはかなりの食い違いを示した1,2).ましてや専門家と非専門家の間の落差は時にはまったく別世界の観すらあった.このように一つの疾病の把握が人によって少しずつズレているということは,いろんな点で大変支障をきたすことが多い.そこら辺りの点を明らかにして議論をしてみたい.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.