Japanese
English
特集 再発癌—follow-upとその治療
Ⅰ.再発癌の考え方とその対策
病理の立場から
Recurrence of cancer:On the basis of pathological background
谷口 春生
1
,
山名 良介
1
Haruo TANIGUCHI
1
1大阪府立成人病センター病理救急室
pp.895-903
発行日 1973年7月20日
Published Date 1973/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205836
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はじめに
悪性腫瘍はその自然史として破壊性浸潤増殖を行ない,転移を形成し,遂には宿主を腫瘍死にいたらしめるが故に悪性であるが,一方,治療ののちに再発をきたしやすいことも,悪性であるゆえんの1つである.
再発とは,腫瘍が治療によつて消失したあと,原腫瘍と同じ腫瘍が再び発育してくること1)と概念的には理解される.治療の結果,腫瘍細胞が完全に消失して病理学的に治癒といい得る状態からは原腫瘍の残存細胞からの再発育はあり得ないが,逆に再発をみた場合は,治療時に既に腫瘍細胞の残存があつたはずで,病理学的な治癒の状態ではなかつたことになる.一方,治療時にすでに肉眼的にあきらかに腫瘍組織の残存をみた場合,これが治療後に再増大しても,これを再発とは呼ばない人もある.したがつて,病理学的に「再発」を定義することはむずかしく,Boyd2)はこれをclinical termであると割りきつている.
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